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大型ジェット機の主翼の前縁部分につけられている「ブリードーエア」だ。主翼前縁は機体のなかで最も着氷しやすい箇所である。この内部にはダクトが通されており、パイロットがコックピット内にある「防氷スイッチ」をオンにすると、エンジンから高温の空気がダクトに流れこむしくみになっている。こうすると、主翼前縁の表面が熱くなり、雪や氷がついてもすぐに溶けてしまうのだ。防氷装置はコックピットの窓にもつけられているが、こちらの装置には電熱ヒーターが組みこまれている。コックピットの窓は、内側と外側の2枚のガラスを張り合わせてつくられているが、2枚のあいだにヒーターの膜(電流が流れる皮膜)が張られており、ここに電流を流すことで氷が張りつくのを防いでいるのである。ところで、こうした防氷装置は、ジャンボ機やボーイング「777」型機などの大型旅客機の尾翼にはついていない。尾翼は機体の姿勢を安定させるための重要な翼であり、方向舵や昇降舵などの可動翼が凍りついて動かなくなったりしたら一大事である。なぜ、尾翼にも防氷装置をつけないのか不思議に思われるだろう。しかし、これにはきちんとした根拠がある。ジャンボや「777」のフライトテストの歴史においては、尾翼に着氷したことが一度もない。不要なものをつければ、機体重量を増やすだけだ。したがって、尾翼には防氷装置は必要ないと結論づけられているのである。